Home > Archives > 2018-04

2018-04

Technics (テクニクス) SL-1000mk3 オーバーホール S:DK2726E015


Technics (テクニクス) SL-1000mk3のオーバーホールにてお預かりしました。

所見
・回転トルク弱い 
・回転立ち上がり遅い 
・停止が遅い 
・加振にて動作異常
・回転時プラッタ振動発生 
・回転時モーター部から異音発生 
・スピンドル下部軸受接触部面荒れ
・本体速度調整ボタンのネジ位置調整ズレ

処置
・スピンドル下部軸受交換 
・スピンドル下部軸受接触部研磨 
・スピンドル側面研磨
・各操作スイッチ全数交換 
・本体速度切替ボタン部ネジ位置調整
・ヒューズ回路基板配線接続用スタッドピン研磨
・キャビネットダストカバーヒンジ分解清掃、グリスアップ、調整ネジ部圧入ナット取り付け
・オーバーホール
  電解コンデンサ全数交換
  フィルムコンデンサ全数交換
  高分子電解コンデンサ使用部フィルムコンデンサに全数交換
   (普通の電解コンデンサに交換されていた為)
  電源用3端子レギュレータ全数交換
  制御回路用電源回路ダイオードブリッジ交換
  調整用半固定抵抗器全数交換
  ヒューズ全数交換
  リレー交換(電子リレー使用)
  トランジスタ全数性能簡易チェック
  各回路基板半田付け全箇所吸い取り、再半田付け
  各回路基板クリーニング、防湿コーティング
  機構部クリーニング、注油
  電気調整
  機械調整
  48時間以上のエージング後動作チェック

2006年6月に、某修理工房さんでメンテナンスを受けていた製品です。
作業前チェックで、異常動作に気が付きました。
回転スタートが異常に遅く、定速回転するまでスタートから約1.5秒かかります。また、停止時にも約2秒程度かかっています。回転時のトルクも非常に弱く、指1本で簡単に回転数が低下し、回転時にモーターから異音が出て振動しています。
この製品の能力が全く発揮されていません。
コントロールユニットに少し加振をすると、勝手にスタート・ストップしたり電源が切れたりと、色々な異常動作をします。
以前、同じ症状を経験した事が有ります。同じ修理工房さんがメンテナンスを手がけておられる製品でした。こちらの製品です。

http://sp-10.jp/?p=6331

同じ時期に同じお客様の製品のメンテナンスを実施されていますが、全く同じミステイクをしています。
当店入荷時のモーター駆動波形です。上から33rpm、45rpm、78rpmです。



盛大にパルスが混入しています。これが今回の回転異常の犯人です。
モーター駆動回路の整流回路で、電解コンデンサの取付ミスが有りました。同じ回路パターン上に電解コンデンサの両方のリード線が半田付けされています。


基板の表裏を比較して頂ければご理解頂けると思いますが、同じ回路パターン上に電解コンデンサの両方のリード線が取り付けられています。
これではコンデンサがただの飾りで、全く機能していません。故障を作っている様なものです。
オーバーホール後のモーター駆動波形です。上から33rpm、45rpm、78rpmです。



電源回路が正常に動作する様になりましたので、正常な波形に戻っています。

半田付けの状態が悪く、半田付け不良箇所が多々有りました。
その一例ですが、ヒューズ回路基板の配線部分を載せます。

この部分の配線は、ラッピング手法で行われています。この部分の接触不良を防止する為に半田を流しているのですが、配線材を手で解くと、半田ごてを使わなくても解けました。解いた跡のです。

全ての端子で発生していたのではありませんが、この部分の7箇所のうち4箇所で発生していました。
この半田付け不良が原因なのかは不明ですが、解いた後、半田を吸い取って新しい半田を乗せようとしても半田が綺麗に乗りません。
端子を全部取り外して、表面を研磨した後半田を乗せています。

また、同じ回路基板の配線で問題が有りました。

ヒューズ回路基板から電源スイッチに繋がっている配線です。ラッピングされていますが、半田は流されていません。この配線を触ると簡単に回転します。もしやと思い、配線を持ち上げると、そのままの形でピンから抜けました。加振にて電源が切れるのは、これが原因だと思います。

一度ラッピングを解き、再ラッピングして半田を流そうと思われたのでしょう。半田を流し込むのを忘れられたのですね。

スピンドルの潤滑剤に何を使用されたのか不明ですが、スピンドル下部軸受との接触面で異常摩耗が発生していました。
スピンドル軸の先端と軸受の状態です。


このままでは異常摩耗が進み、正常な回転が望めなくなりますので、スピンドル軸先端の研磨と、軸受の交換を行っています。
研磨後のスピンドル先端です。

完全な鏡面では有りませんが、今の当店の設備ではここまでです。
また、スピンドル側面にも細かい傷が多量に入っていましたので、研磨を行っています。
スピンドル下部軸受を分解した時の状況です。



各操作スイッチに接触不良が認められましたので、各スイッチを全数交換しています。
このスイッチの交換時にも一波乱が有りました。
本体の速度切替スイッチですが、スイッチを押しているボタンのネジを無駄に回しているので、正常にスイッチが動作しません。ネジロックにしているのだと思いますが、ネジの周囲に塗料が塗られていて、ネジ穴にも入り込んでいます。ネジを回そうとしても、レンチがネジ穴に入りません。周りはプラスチックなので溶剤を使うのはためらいます。先の細い針で少しづつ削り取り、やっとネジを回す事が出来ました。
スイッチ交換後、ネジを取り外し、クリーニングを行ってネジロック剤を塗布して取り付け、位置調整を行っています。
スイッチを押す部分です。

因みに、このスイッチを押すネジ位置の調整を行ったのは2回目です。前回も他の修理屋さんが触った製品のオーバーホールを行った時でした。このネジ位置調整、よほどの事が無い限り不要です。何が有って調整が必要になったのか、周辺の部品の状態を見ても不明です。スイッチの接触不良を部品交換しないで何とか誤魔化そうとしたのでしょうか?

前回のメンテナンスで電解コンデンサは全数交換されていますが、実装に問題が有る為と今後の安定動作に不安が有りましたので、当店のオーバーホールメニューにてオーバーホールを実施しています。

お客様のご要望で、ダストカバーのヒンジ部のトルク調整用ネジ山の補修を行いました。
この部分は、少し強い力が加わりますので、ネジ穴の破損が多く発生しています。アルミダイカストの2mm程度の厚みの所にM5のネジを切っていますので、仕方が無い所です。
厚さは変えられませんので、ネジ穴を大きくし、圧入ナットを取り付けています。
上が作業前、下が作業後です。

通常のオーバーホールに使う時間よりも、不具合の解消に時間が掛かってしましました。オーバーホール実施後は加振での動作異常は無くなり、回転時の振動が無くなり、回転トルクも復活し、スタート・ストップの時間も正常に戻っています。

今回のメンテナンスにて、今後長期間安定してこの製品の性能を発揮するでしょう。

当店ではSP-10シリーズの安定したメンテナンスができるように、部品関係は常にストックしておりますので、SP-10シリーズが故障してお困りの方やどうも調子が悪いとお感じの方、今後長期間ご使用されたい方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

─────────────────────────────────────────────
商品の修理のお問い合せは下記までご連絡下さい。
電話:0863-53-9922
メール:vintageaudio@csis.jp
─────────────────────────────────────────────

  • Comments (Close): 0
  • Trackbacks (Close): 0

Home > Archives > 2018-04

Tag Cloud
PR
メタ情報

Return to page top